“認定アーキビスト”は学び続ける専門職 ~文書情報マネージャー認定セミナーが更新制度の研修として例示された~

 記録を適切に管理し、未来に残す専門職――それが「認定アーキビスト」です。これは、国立公文書館が認定する制度であり、非現用となった公的記録の適正管理・保存・公開の実務を担う人材として位置づけられています。

 しかし、この資格は「取得して終わり」ではありません。社会の変化とともに、常にアップデートし続けることが求められる専門職なのです。

▶なぜ「更新制度」があるのか?

 認定アーキビストの資格には、有効期間(5年)があります。
 これは、国立公文書館が発行している『更新申請の手引き』の中で、次のように説明されています。

 認証アーキビストの認証の有効期間は、認証状交付の日から起算して5年です。アーカイブズやアーキビストを取り巻く環境は日々変化しています。このため、認証アーキビストには、社会規範の変容や情報技術の進展等を踏まえ、最新の動向を把握し、対応していくことが求められます。よって、認証の有効期間を無期限とせず、更新の仕組みを設けました。

 つまり、更新制度は「制度を維持するための事務的な手続き」ではなく、社会からの信頼を保ち続けるための仕組みなのです。

▶ 更新申請に必要な書類と実績区分

 国立公文書館が定める更新申請には、次の3項目に基づいた実績の提出が必要です。これらは『更新申請の手引き』に基づく正式な区分です。

(1)知識・技能等に係る実績一覧
記録情報管理に関連する研修受講、講演、研修講師、資格取得、発表、執筆などを記録した一覧です。

例:

  • 国立公文書館主催の研修、またはそれに準ずる公的機関の講習会
  • JIIMAの「文書情報マネージャー認定セミナーなど」
  • 専門誌への寄稿や研究会での報告

(2)実務経験説明書
文書管理、アーカイブズ、情報公開等に関する業務にどのように従事してきたかを記載する説明書です。
職務の名称や役割だけでなく、実際に取り組んだ施策、改善活動、チームへの貢献などが求められます。

(3)調査研究能力に係る実績一覧
アーカイブズに関連する課題や制度、運用等について、自ら調査・研究した実績を記載します。

例:

  • 調査報告書の執筆
  • 自治体内プロジェクトにおける制度設計支援
  • 関連する研究発表や学会報告 など
▶ なぜ「文書情報マネージャー認定セミナー」が更新研修としてふさわしいのか?

 このセミナーは、単なる文書管理の入門講座ではありません。記録の真正性・長期保存・法的証拠性といった認定アーキビストに不可欠なテーマについて。実務に即した内容を、毎年アップデートしながら提供している点が特長です。

扱われる主なテーマ例:

  • デジタル記録の長期保存
  • 改ざん防止・検知(タイムスタンプ、電子署名、ログ管理等)
  • 紙から電子への変換と真正性の確保(e-文書法、スキャナ保存要件)
  • 改正民事訴訟法への対応と記録の証拠性
  • 情報ガバナンスと文書管理の統合的な仕組みづくり

 これらは、認定アーキビストとして知っておくべき重要テーマであり、更新研修としての受講先にふさわしい選択肢のひとつとして、ぜひご検討いただきたい内容です。

▶文書情報マネージャーにも「アップデートセミナー」がある

 JIIMAの「文書情報マネージャー認定セミナー」は、取得して終わりの資格ではありません。 認定後も、最新動向を学び直す場として「アップデートセミナー」が毎年開催されています。
 このセミナーでは、最新の法制度、技術、実務事例を反映し、現場のニーズに合った情報が提供されます。認定アーキビストにとっても、継続的な知識の更新を図るうえで、有力な研修機会となるでしょう。

▶ 学びは更新のためだけではない

 このセミナーの受講は、単なる“更新条件を満たす”ためだけではありません。

  • 自分の組織の文書管理を見直す視点が得られる
  • 他機関・他業種の実務者との交流が生まれる
  • 制度と実務のギャップを埋めるヒントが得られる

 受講者の中には「研修内容を踏まえ、自組織での文書管理の改善に取り組み始めた」という反応も見られます。まさに「現場で生かす学び」そのものです。

▶ 資格は「継続する意思」こそが信頼になる

 認定アーキビストの更新制度は、制度を守るための仕組みではなく社会からの信頼を持続させるための仕組みです。

  • 私たちは、変化し続ける記録環境に向き合っているか?
  • 私たちは、情報の真正性を守る技術と運用を理解しているか?
  • 私たちは、次の世代に記録を責任をもって引き継げるのか?

これらの問いに、自信を持って「YES」と言うために、認定アーキビストは学び続けます。

▶まとめ:更新制度は、専門職の“証”である

 国立公文書館が認定する「認定アーキビスト」という資格は、「一度取ったら終わり」ではありません。社会の変化に向き合い、実務と制度を結ぶ存在として、学び続けることそのものが役割です。

 その更新制度のなかで、JIIMAの「文書情報マネージャー認定セミナー」「アップデートセミナー」は、現場実務に根ざした“信頼される学びの場”として、これから更新研修を検討する方にも、ぜひおすすめしたい内容です。