書類整理が進むとき

オフィスを移転する時には、フロア面積が削減されることが多く、書類の置き場所を減らされてしまいがちです。また、移転時ではなくても、書棚やキャビネットが満杯となった場合など、やむを得ず書類を整理することとなります。

この時の目的は、「書類の〇〇%削減」となることが多く、この目的を達成するために、その時点で不要と思われる書類から廃棄します。廃棄する際に十分に吟味して行えばよいのですが、これをすると時間がかかるなどの理由で、思い切って捨ててしまい、後日、書類を探した時に捨ててしまっていたことに気が付く様な事態が起こることがあります。

電子データの場合でも、サーバの容量に余裕がなくなり、これ以上保存することができない、あるいは個人のメール容量が限界値となり、メールを受けることはできるが発信できない事態となった時にも、紙の書類と同様に、必要なファイルまで削除してしまう恐れがあります。

このような書類整理では、一時的には目的を達成できたように見えるのですが、半年もたてば書類の置き場所を見つけて、元のような状態に戻ってしまいます(リバウンド)。

文書管理の重要性

業務の効率化やワークスタイル変革が叫ばれていますが、このためには、いかに無駄な業務を減らし、効率よく仕事をすることがカギとなります。また、事故や災害などに遭遇した時、欲しい情報を短時間で取り出すことは、復旧に要する時間を大幅に短縮することができます。

また、最近では製品の性能にかかわる検査データの不正も報告されていますが、もし、これに関する記録などが十分に管理されていなければ、どこまでのデータに問題があったかをさかのぼって調べることは不可能に近く、疑惑を完全に払しょくすることはできなくなり、その後の信頼は、並大抵の努力では得ることはできません。

文書管理を少しでも進めるように動機づけ

一般的に文書管理の目的とされるものには、次のようなものがあります。

  • 業務の効率化
  • 情報の共有
  • 書類量の削減(オフィス・ファイルサーバーの整理)
  • 説明責任(アカウンタビリティ)
  • リスクマネジメント(情報セキュリティ、事業継続)

しかし、直接文書管理をしなければならない人にとって、どれも自分には直接かかわるものではなく、積極的に行おうとする意欲が湧きにくいものです。
これを「自分が楽に仕事をできるようにする」という目的に変えることで、文書管理が身近なものに感じられます。

  • 必要な情報を短時間で取り出せる
  • 自分の時間を奪われない あの書類はどこにある?などと聞かれることがなくなる
  • 間違った情報を使わない
  • 既にあるものを利用して一部をまねる

間違った情報で資料を作成してしまった場合、再作成に時間がかかるだけでなく、もしこれを使って他の人に説明していた場合、訂正するために多くの時間を割くこととなってしまいます。もし、正しい情報をすぐに利用できるようになっていれば、このような無駄な作業、時間を使う必要はなく、さらにはあの人の仕事は安心できるとなれば、信頼性も大幅に上がってきます。

書類の電子化

書類の量を減らすためにこれをスキャナで読み取り、電子データとして保存し、紙の書類を廃棄することが進められますが、何でも電子化すれば良いというものでもありません。スキャナで読み取り、後で検索などができるようにタイトルを変更したりキーワードを付けたりするには、意外に多くの手間がかかるものです。

ただ残しておかなければならないだけのものであれば、倉庫に入れておくだけで十分で、゛電子化の手間をかけた以上に、活用できるものを電子化することが大切です。一例として挙げるなら、マニュアル類、ほぼ定型化されている書類のひな型、プレゼン資料のひな形などです。

マニュアルは、電子化されていれば検索が容易なだけでなく、紙の書類では不可能であった動画を取り込むことも可能となるだけでなく、修正した場合には、最新版の徹底が容易となります。

書類の整理

文書管理について書かれている書籍などはほとんどが「ファイリング」を基本として説明していますが、これは三沢 仁氏の「ファイリングシステム」(日本経営協会総合研究所発行)をベースに説明しています。しかし、これは事務部門だけを対象としており、技術部門や製造現場などの現業部門は対象としておらず、そのまま適用しようとするには無理があります。

ファイリングで説明されるのは、三段キャビネットの上二段を当該年度の書類とし、年度が替わると上二段の書類のうち不要なものを廃棄して、書類量を半減して最下段に移す移し替えを薦めています。最下段にあった書類は、倉庫などに移動させます。これらの移動は「移し替え」と呼び、オフィス内の書類は「保管」しているとし、倉庫に移したものは「保存」と呼びます。

現業部門では、年度ごとに整理するのではなく、テーマなどが一段落いた時に実施することが進められます。

JIIMA認定の文書情報管理関する資格

文書情報マネージャー

ユーザーの立場から文書や記録を取り扱い、さまざまな情報を経営に活かす人材のための資格です。

文書情報管理士

主としてサプライヤとしてのメーカー・ベンダー・サービス業向けの資格として位置づけです。

文書管理達成度の評価

JIIMA の文書情報管理委員会が作成した「文書管理達成度評価基準」で、文書管理状態のレベルを評価出来るように策定したものです。JIIMAのホームページの中に、専用のページを作成し、公開しています。ここのページからExcel表をダウンロードし、自社の状態を記入して専用のアドレスに送付すると評価結果をフィードバックします。 詳細はこちら

 

ベストプラクティス

JIIMAでは2007年(平成19年)より、先進的な文書情報マネジメントシステムを導入し、顕著な成果を出された企業・団体に対して『ベストプラクティス賞』を設け表彰しています。

ベストプラクティス一覧

 

参考資料

文書管理用語辞典
文書情報管理

月刊総務オンライン

営業秘密

経済産業省 「営業秘密 ~営業秘密を守り活用する~」

基礎的な説明から、「秘密情報の保護ハンドブック」や「秘密情報の保護・活用事例集」などです。

東京都知的財産総合センター 「知財お役立ち情報」

中小企業の経営者の人に「知的財産」について知ってもらうためのマニュアル類。

特許庁 「先使用権制度について」

個人情報保護

政府の関連ページ

個人情報保護委員会

経済産業省 個人情報保護

GDRP

JETROのハンドブック

「EU一般データ保護規則(GDPR)」に関わる実務ハンドブック(入門編)

「EU一般データ保護規則(GDPR)」に関わる実務ハンドブック(実践編)

セキュリティ

経産省のサイバーセキュリティ経営ガイドライン

IPA「中小企業における組織的な情報セキュリティ対策ガイドライン」

IPA「組織における内部不正防止ガイドライン」

書面の保存

法令等により書面による保存、交付等が規定されている事案