M&A 合併は、文書情報管理にとって、チャンス? ピンチ?

M&A合併(吸収合併、新設合併)は、企業の文書情報管理にとってチャンスなのでしょうか? ピンチなのでしょうか?
企業文化の異なる会社が一つになる、統合するということは、某大銀行を例にとるまでもなく簡単なことではありません。

 たぶん、企業文化を統合するというより、融合するのだと思います。そして、それには時間がかかります。
 文書情報管理、文書情報マネジメントは、会社の企業文化に色濃く影響を受けます。

 会社の文書の管理状況を見るとその融合度があからさまに見えてきます。合併後、数年経過しても部門ごとに管理の仕方が違うことがあります。なぜと聞くと、こちらは旧A社系、あちらは旧B社系という具合です。

 こんな有様で、合併を繰り返すと会社は企業文化だけでなく、その大切な記録もまだらなパズルのような状態になり、リスクが高まります。これでは、合併は文書情報管理の「ピンチ」となってしまいます。

 もう一つのパターンは、強力な支配力のあるグループが、そのグループの文化や手法を押し付けてしまうケースです。表面上は、全社統一した手法に従っていますが、内部では反発のマグマが渦巻いています。これも文書情報管理にとって、「ピンチ」を招いているといえます。

 それではM&A合併は、文書情報管理にとってマイナス面ばかりかというと、そうではありません。
 プラス面というか、合併ならではのチャンスがあります。それは「他社の仕事の仕方、考え方を知る」機会を得ることができるということです。前述のように、その機会を逃したままに、各部門が旧態依然の在り様でいたり、力任せに文化、仕事の仕方を統合してしまうとこの機会を生かすことができません。

 ネットに情報があふれているなどと言われる現在ですが、実務の機微なところが出ることはありませんし、人材の流動性もまだまだですので、会社の席に座っているだけでは、生きた情報は入ってきません。しかし、合併の際は、身近に昨日まで他社だった見ず知らずの人がいるのです。これはチャンスです。

 どんなに自分自身や自社が優れたやり方をしていると思っても、全分野で優れているということはありえません。基本は、自分は「井の中の蛙ではないか」と自問しながら、他者の仕事の仕方、考え方を聞くことにあります。

 また、知らない人同志で意見を出し合うことで、融合効果でよりよい仕事の仕方や考え方も浮かんできます。

 このようにしながら、合併時に文書管理規則をはじめとした各種規則の見直しに始まり、仕事の仕方、システムの在り方、文書情報管理の在り方を見直すことで、合併は大いなるチャンスとなります。

 そうは言っても、文書情報管理・マネジメントについては、その基本を押さえておかないと逆方向に走り出すリスクもありますので、注意が必要です。例えば、効率を重視するあまりコンプライアンスを軽視するなどです。

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