1-1.文書情報管理の目的とメリット

一般的に経営の観点から見た文書情報管理の目的として、次のようなことが挙げられます。

・業務の効率化
・情報・知識の共有(社内ナレッジの活用)
・書類量の削減(ペーパレス化)
・内部統制対策(アカウンタビリティ:説明責任)
・バージョン管理

しかし、このような目的は、実際に書類管理などを行う人にとってはあまりなじみのなく、文書情報管理の動機づけとしては効果が薄いものです。

このままでは普及させるのが難しいので、実際に業務に携わる人が納得しやすいような目的に読み替えてみましょう。

・自分の業務の効率化(楽に仕事ができる)
・身の回りをすっきり・システム部門より文句を言われない
・顧客満足度の向上
・危機管理(リスクマネジメント)

といったものに置き換えられます。これで業務を担当する人も、少しは文書情報管理が身近に感じられるのではないでしょうか

では、これらの目的をより詳しく見ていきましょう

目的1 (自分の)業務の効率化

「業務の効率化」を自分ごととして考えてみると、次のようなことが挙げられます

・「必要な文書情報を短時間で取り出せる」
・「自分の時間を奪われない(周りの人の時間を奪わない)」
・「間違った情報を使わない」
・「すでにあるものの一部を修正して再利用」

「必要な文書情報を短時間で取り出せる」ということは、業務の生産性において非常に重要なポイントです。文書を探すために時間がかかってしまうのは非効率であるということはもちろんのこと、ほかの人から文書について問い合わせを受けることで自分の業務が止まってしまうことも、業務効率を下げる大きな要因となります。

また、最新の文書がどれかしっかり管理されていれば、思い違いで古い情報を使ってしまうことがなくなりますし、その文書を活用し、修正して再利用することで文書の再利用が可能となり、業務時間の短縮が可能となります。このように、文書管理を推進することで、業務を効率化し、生産性の向上を図ることができます。

目的2 身の回りをすっきりさせる―書類のスリム化(ペーパレス化)

いまだに紙ベースで書類の運用や保管を行っている企業は少なくありません。コンプライアンスや法律上の理由による場合は致し方ない部分もありますが、社内の業務フローで押印や捺印が必要だったり、「紙だから安心だ」という昔からの慣習や信念でというところも数多くあるのではないでしょうか。

しかし、「紙」だからといって安全とは言えません。セキュリティの観点から言えば、「紙」は何枚コピーされてもわかりませんし、紛失、情報漏えいした場合に、どこに行ってしまったのかがわからなくなってしまいます。電子化文書化し、適切な仕組みを導入すればすれば文書管理は容易かつ、しっかり保護することが可能です。

また、紙はかさばるので、保存を考えるとスペースが必要になってきます。書棚、書庫、トランクルームなど、紙情報が増えれば増えるほど場所代がかかり、反比例して検索性は落ちていきます。

このように、さまざまな観点から見て、文書情報管理における電子文書化(ペーパレス化)はメリットが大きいと言えます。

目的3 顧客満足度の向上

文書情報管理によって、正確な情報で短期間のうちに対応できるようになり、お客様から信頼感を得ることにもつながります。また、そのお客様から受けた質問や問い合わせを分析することで、どのようなことが課題となっているか、問題点は何かなど把握しやすくなります。

これらの分析をもとに真のニーズにより近づいた提案ができれば、お客様の心を捕まえることができるようになります。

目的4 リスクマネジメント

近年、コンプライアンスの遵守やコーポレート・ガバナンスの強化など、内部統制対策が求められています。

内部統制の要として文書情報管理は重要です。法律で保存期間が定められている法定保存文書はもちろんのこと、製造物責任法(PL法)、消費生活用製品安全法などの保管書類、知的財産関連書類や、裁判に訴えられたときのための証拠書類、効力が継続している契約に関する文書や、説明責任(アカウンタビリティ)を担保するための文書などが挙げられます。

これらの文書情報は、求めに応じて速やかに提示できないと、企業の信用や姿勢を問われることにもなりかねません。したがって日ごろからの管理・運用が重要であると言えるでしょう。

 

1-2.緊急時への対応も考える

これまで説明してきたことは、日常業務を行っている場合での視点ですが、これとは全く異なる視点が緊急時への対応です。

日常の業務では、情報共有のためにできるだけ電子データとして管理し、検索しやすいようにキーワードをつけて管理します。

ところが、緊急時(緊急時にもいろいろな種類があるため、そのケースによっても異なってきますが、)電子化せず、紙で保管しておくことが必要な場合もあります。これは停電やネットワーク遮断などでパソコンを使えない状況となってもすぐに情報を確認できるようにするためです。

また、緊急時はいつ発生するか分からないため、必要に応じて一部の情報は、自宅に持ち帰っておき、いつでも利用できるようにすることも大切です。

このようなことは、情報漏洩などセキュリティの観点からはあまり推奨する事は出来ない事ですが、リスクとの対比で、どこまで行うかを決めなければなりません。