適正な公文書管理を考える ─会議録のあり方を中心に

※この記事は、機関誌IM2025年5・6月号の再掲記事となります。掲載当時の情報に基づいているため、現在の状況や制度、取り組み内容と一部異なる場合があります。


横浜市庁舎

議事録不存在のIR誘致

 いささか古い話題で申し訳ないが、カジノを含む総合型リゾート(Integrated Resort)を日本でも合法的に導入しようとする法案が成立したのは2016年12月だった。IR事業者がカジノ運営によって得た収入のうち30%は、国や地方自治体の収入となり、今後避けられない人口減少による税収をカバーする施策の一つにも挙げられた。この法案のメリットは、観光産業の振興、地域経済の活性化、財政の改善である。デメリットとしては、地元住民が懸念しているのは、治安の悪化、マネーロンダリング(資金洗浄)対策、ギャンブル依存症の増加、カジノに対する決して良好ではないイメージなどの点である。(特定複合観光施設区域整備法に係る説明会 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ir_promotion/siryou/pdf/siryou2.pdf

 横浜市がカジノを含むIR(統合型リゾート)の誘致を表明したのは2019年8月だった。その2年前の市長選で3選を果たした林文子市長は、当選前のIRの誘致については「白紙」としたが、当選から2年を経て誘致に方針を切り替えた。そして同年11月にはIR推進プロジェクトを設置し、林市長は丁寧な説明を念頭に各区で市民説明会を主催した。

「横浜IR(統合型リゾート)の方向性」(2020年8月横浜市)によれば、2019年をピークに生産年齢人口が減少し、経済活力の低下や個人市民税が減少する一方で、社会保障費は増加すると予測を説明した。対策効果として、カジノを含むIRの導入効果を指摘した。またギャンブル依存症などの対策では、世界最高水準の規制を導入し、市民誰もが楽しめる世界水準のリゾート施設を実現するとした。

 一方、市民からはカジノにはギャンブル依存症や治安悪化などへの懸念もあり、誘致の是非は市側からの一方的な説明ではなく「対話」を求める声もあがった。また説明会では直接の質疑応答はなく、事前に配布された用紙に記入したものを司会者が無作為に選び、それに回答する方式に市民から不満もあったという。(『タウンニュース』2019年12月19日付)

 

 このようにIR誘致の話題が沸騰する中、「議事録が作成されずにIR誘致に関する協議内容が検証できない」という毎日新聞の報道(2020年8月25日付)を見逃すことはできない。極めて大きな市民の関心をよそに、IR誘致に至るまでの会議の記録が作成されていないことが同紙の開示請求で明らかになったからだ。事実2020年6月、誘致表明に関する打合せの記録や議事録、メール等を同紙が請求したところ、開示されたのは「IRの実現に向けて」という資料など4件の文書で、記者会見で使用したものだったというから説明パンフレットのようなものだった。

 この点について市職員は「個人がメモをとった会議内容をもとに現場で指示することがほとんどだった」と言い、市幹部との打合せを記録に残さないことが常態化している可能性があると同紙は指摘した。IR推進室によると「誘致に関する検討は“極秘事項”として小人数しか関わっておらず、口頭で内容を共有できた」(毎日新聞2020年8月25日付)と説明したが、市民の関心が高く賛否の分かれる重大なテーマであれば、なおさら記録化は欠かせなく、特に白紙から誘致に切り替えた市長の本音や意思決定に至る協議の過程などを知りたかった。

 一方、議事録に関して林市長は、定例記者会見で「決まりに準拠してやっている」と答え、「問題はない」とする認識を示した。今後の対応については「必要なところはきちっと議事録に残したい」と言及した。(毎日新聞2020年9月3日付)今になって気が付くことは「決まり」とは何かを確認して欲しかった。

 同様な意見を紹介するならば、横浜市従業員労働組合サイトの「横浜IRの誘致に係る取組の振り返りを読み解く(上)」がある。このなかで、神奈川大学法学部の幸田雅治教授は議事録なき協議について「事業者選定のための横浜IR協議会や有識者委員会はほとんどの協議が非公開で、議事録も簡易なものしかなく、重要な方針がどういった議論を経て決定されているのか、外部から検証できない。(中略)また、事業者へのヒアリング内容などについての情報公開請求では、算出の根拠になる部分は、ほぼすべてが黒塗りで、政策決定を支える根拠が公開できないということは、政策決定自体に根拠が無いということになる」と厳しく批判していた。

 このように必要な情報の開示もなく、検証不能なことが分かった以上、一方的な誘致への経済効果を説明されても市民は納得できなかっただろう。文書管理に関する規則の改定を問われた林市長は「現在の規則が足りなければ判断しないといけないが、今のところは考えていない」との考えを示した。つまり残すべき公文書は市民のものだという認識もなく、将来にわたり検証不可能なままで良いという考えだったのかもしれない。結局、このIR誘致問題は2021年8月、横浜市長選挙を制した山中竹春市長の登場で撤回され、論争に終止符が打たれた。

求められた適切な文書事務

 それから2年経過した2022年7月に「文書事務の適切な執行について」というタイトルで、総務局行政マネジメント課長名で区局等文書管理者に通知された。IR誘致の議事録不在の報道が影響しているかは不明であるが、これは区局等において文書事務の適切な執行に向けて、4項目の自己点検の取組みへのお願いである。その中にあるのが、議事録不存在を改善するような内容である。そのまま転用すると、「経営会議その他の会議体による審議を経たとしても、重要な施策、事業等に係る意思決定を行うに当たっては特に意思決定のプロセスの透明性が要請されることに留意し、あらかじめ文書による決裁により実際の事業着手の前に方針を決定する必要があります。事案の内容に応じて、各区局等で文書を作成し、意思決定過程を文書により記録するようにして下さい」と通知した。

 その他自己点検では、遅滞なく行政文書を作成すること、事業の実施には文書による決裁をすること、市会議員からの資料要求だけでなく、常任委員会等への資料提出は文書で決裁することである。また行政文書の作成が遅れるケースや文書決裁をせずに口頭で済ましていたケースの是正指導もあった。できれば自主取組み用のチェックリストや自己点検まで踏み込んだ指導が望ましい。また、あえて付け加えるなら、決裁や供覧の手続きを経ていない組織共用文書の適正管理や意思決定と同時に公文書を作成することが困難な場合は、事後に作成することも市民に説明責任を果たすためにも入れて欲しかった項目である。

 前述の「通知」を読み返してみれば、「文書主義の原則に則り、職員は文書管理者の指示に従い、法第4条※1の文書作成の規定に基づき、法第1条※2の目的の達成に資するため、経緯も含めた意思決定に至る過程並びに事務及び事業の実績を合理的に跡付け、または検証することができるよう処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、文書を作成しなければならない」と公文書管理法のガイドラインに書かれた内容であり、これに則り、横浜市は最適な文書事務を職員に求めていたことがわかる。さて、前置きが長くなってしまったが、今回は横浜市教育委員会の「いじめ問題」に関して、筆者が開示請求して取得した文書から同市の公文書管理の現状と課題を記したい。

※1  第4条:行政機関の職員は、第一条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。

※2  第1条:この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により(以下略)

活かされなかった「いじめ防止対策」

 2024年3月中旬、新聞各紙が報じた「中2いじめ自殺問題」を知った時、検証可能な公文書の存在が気になっていた。その記事はこう報じている。「2020年3月にいじめを苦に尊い命を亡くした中学2年の女子生徒の遺族が「いじめ防止対策推進法に横浜市の対応が違反行為として、第三者に検証を求める申し入れである」(神奈川新聞3月28日付)事件から4年を経過した今、改めて教育委員会の対応を疑問視したからだ。調査の結果、この事案では第三者組織による調査など法に基づく対応を怠っていたことが判明し、さらに2014年度以降の児童生徒の自死40事案について総点検することになった。 

黒く塗られた調査報告書

「いじめ防止対策推進法」(文科省2013年9月)とは「対策に関して理念を定め、国及び地方公共団体等の責務を明らかにし、対策に関する基本的な方針の策定について定めて、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする」としている。地方公共団体はこの理念に則り、いじめの防止等のための対策について、国と協力しつつ、地域の状況に応じた施策を策定し、実施する責務を有するとしている。事実、横浜市はそれに沿って「いじめ防止基本方針」を定め、さらに2017年10月には方針を改定した。それは東電福島第1原発事故で、横浜に避難した男子生徒へのいじめ問題を契機とする見直しだった。この問題でも調査の遅れが指摘されたからだ。

公文書の開示請求

 そこで筆者は2024年5月横浜市に対して、いじめ問題専門委員会(以下専門委)の会議録、調査報告書、学校と教育委員会との対応過程の記録、各組織間の具体的な情報共有の仕組づくりの開示請求をした。当時は諸問題を抱え、多忙をきわめていた同委員会だったのか、開示決定の延長通知があり、7月22日に請求した文書類の一部を閲覧させて頂いた。知りたいことは、職員が職務上において文書主義に基づいて活動する中で、当該校や教育委員会における記録作成と管理が具体的にどのように行われていたかである。

 届いた情報公開の通知によると、専門委の47回の会議録は非公開となったのは、個人情報を理由に特定の個人が認識されることを恐れての処置である。事前に約千頁ほどの情報量だとは聞いていたが、横浜市庁舎に出向き、担当者2名の立合いの下、それらに目を通す作業はやりにくかった。だが、専門委が2023年12月に作成した当該校の「いじめ防止対策推進第28条第1項にかかる重大事態の調査報告書(答申)」は同事案に関するものでコピーを入手することができた。

 この報告書は専門委の打合せ(2020年7月から2023年7月まで40回開催)、生徒・教職員などへの聞き取りなど再発防止を含めて約90頁に及ぶものである。この中で専門委は記録に関して、以下のように述べている。「学校全体での経過観察については、学校いじめ防止対策委員会の会議録がなく、学校全体で経過を追っていない」、「会議録は簡易な記載で事案の経過を追えない」、「母親との面談の会議録も情報が共有されていない」、「学校全体で一元の情報管理ができていない」、「会議が兼用され問題解決の体制ができない」などを指摘している。その結果、基本調査ではいじめと自殺の因果関係に触れていないので学校と教育委員会に不信感を抱く結果となり、いじめ問題に学校が向き合っていないことも浮き彫りになった。

 これらの指摘から記録に関しての改善については、1.事実関係収集では必ず正確な記録を残し、他の教職員と共有できるファイリングといつでも閲覧できるようにする。2.記録化及び情報共有に関するマニュアルの作成、記録化には記載事項とファイリングの方法などを具体的に示す。このような対策を挙げているが、組織的に問題解決するにはまずは研修で教職員の意思統一が欠かせなく、またこのような問題をマネジメントできる部署を設置することも必要である。

功を奏さなかった指針

 実は横浜市では2017年11月に「学校いじめ防止対策委員会」における会議録の作成指針があり、そこでは「月1回以上の開催、書式の統一」の他に「情報の共有」を挙げ、確認・検証できるようにしておくことを掲げた。「いじめ防止基本方針」(2017年改定)においても、早期発見と事案対処のために、「いじめ疑いに関する情報、生徒の問題行動などに関わる情報の収集と記録」、「いじめに関わる情報を適切に記録しておく必要性」、「保護者が希望した場合、生徒・保護者の所見をまとめた文書を報告書に添付して市長への報告」、また学校の組織づくりの中では「兼用しない会議の設置、学校長は組織的な対応方針を決定し、会議録の作成・保管、進捗管理」とし改善策を提示していた。事実、会議録などの記録が作成されていれば、重大事態の疑いなどの判断材料となり、解決に向けた調査を早い段階で実施することもできたはずだ。

再発防止策について

 2024年8月、教育委は再発防止策案の概要を公表した。調査過程でわかったことだが、当該校が「いじめ」の文言を削除するように指導し、重大事態の認定に7ケ月も遅れたことだ。これに関連して池田直樹弁護士による「2024年3月8日公表のいじめ重大事態の調査結果(V中学校)に係る学校及び教育委員会事務局での対応経過について※3」の意見書を同年6月28日に公表した。

※3  https://www.city.yokohama.lg.jp/kosodate-kyoiku/kyoiku/sesaku/ijime/20180228151232.html

 その中で池田弁護士は、「いじめ文言削除」について、「学校現場が抱える困難な状況を踏まえつつも、市教委として真摯に受け止め、法令遵守の徹底と、情報共有、意思決定過程、その前提となる組織風土等について、ガバナンス強化に取り組み、適正な教育行政を一層推進していくために改革されることを切に期待するものである」と結んでいる。大事なことは、市長と教育委員会の十分なコミュニケーションと信頼の構築であろう。

 今後の対策について、教育委員会は「今後は基本調査から専門家が加わる形にして対応する」(神奈川新聞8月24日付)とし、「いじめの情報を一元的に管理できるシステムの構築やいじめ・不登校対策専門部署の体制の充実などを検討する」(朝日新聞デジタル版8月27日付)など正確な情報の迅速な共有をめざすという。その他、いじめ重大事態調査についても、他都市の事例を踏まえながら、調査結果の公表のあり方などに関して見直しを進めると各紙で報じた。

 振り返ってみると、会議録がなかったことで対応が遅れたのであれば、分かりやすく、誰もが実行できる具体的な「情報の共有」の仕組みを作成すべきではなかったか。つまり文書主義を基本とした公務員の仕事は「文書」によって行われ、記憶ではなく「記録」が全てであるからだ。「一元管理するシステムの構築」などと響きの良い文言よりも、出席者の発言、意見交換、検討・結果の内容がわかる会議録の書き方、ファイリング方法など教職員の負担になり過ぎない手法が求められる。検証できる公文書の保存が何よりも大事であり、責任ある教育運営には記録を残すことが求められる。同時に大事なことは、いじめを受けた子どもの回復の経過がわかる記録を重ねることで、子供とのつながりの機会を増やすことになると専門委は提案している。

 話はそれるが、教育委運営委員会の中間報告会議(2024年4月17日)の答弁で調査報告書、会議録などの保存期間を尋ねられた担当部長は「5年保存」と答え、その他文書については「基本調査の際に収集した文書がある」と述べ、記録収集を決して疎かにはしていない。だが10年前に起きた事案の対象文書なら、すでに廃棄されているかもしれない。将来の住民や職員による利用を考えた場合、一連のいじめ問題に関する文書は、会議記録を含めて10年以上の保存文書とする必要があるだろう。

公文書管理の条例化と専門職

 横浜市は改めて公文書管理法34条(保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するように努めなければならない)を再認識し、公文書管理の重要性を職員に研修する必要があると感じている。と同時に、公文書管理条例のない横浜市では公文書の作成・保存・廃棄などのルールは、市長部局で「横浜市行政文書管理規則」(①)が定められているが、教育委員会や選挙管理委員会などの執行機関に適用されず、独自に規則を制定している。教育委員会では「教育委員会行政文書管理規則」(②)、さらに市立学校を対象に「学校行政文書管理規則」(③)を定めている。

 その理由は、執行機関の多元主義をとる地方自治体において、組織の権力を長や機関に集中させずに分散させることで、独立した地位・権限を確保し、政治的中立性を維持する必要があるからだ。これに相当するのは教育委員会の他、選挙管理委員会などがあり、 行政委員会の設置や所掌する事務、組織のあり方等は法律で定められている※4

※4 「地方自治法第180の5」及び参考:「地方公共団体の執行機関ー総務省」

 したがって、市長部局が定めた規程や規則を教育委員会には適用できず、統一的な公文書管理を実施するなら、情報公開条例のように条例上の実施機関が情報公開の義務を果たすのと同様に、公文書管理条例を施行する必要がある。そうなれば現用から非現用文書、歴史的公文書の保存・活用までのルールから定期的な職員研修・点検まで定めることができるのではないか。

 あえて言いたいことは、職員は決められたルールで日頃から信頼性ある公文書を作成しないと市民との信頼は得られない、ということだ。そして二度と起こしてはならない事案を教訓に、市長のリーダーシップの下、再発防止に必要な取組みを支える公文書の扱い、規律ある職員育成とガバナンスの強化には公文書管理の各層での研修と専門職の育成・配置は欠かせない。

相模原市の取り組みを参考に

 ここで問題発生後、再発防止に取り組んだ相模原市の事例を紹介したい。2017年1月から着工した相模原市の土地区画整理事業において、地中から大量の廃棄物が見つかった。さらに、土地評価の不正操作など職員の不適切な事務執行や事業の委託業者の不透明な選定過程といった問題や疑惑が第三者委員会の調査で次々と明らかになった。そしてこの事業を担当する職員の不祥事が発覚した。当時、庁内部でどういう意思決定がなされ、なぜ不適切な形で事業が進められてきたのか。調査報告書によると、事業の実施における意思決定に係る文書が作成されなかった。公文書の不存在による検証できないといった問題を解決するために必要となったのは、公文書管理の再教育と公文書監理官の設置であった。

 この取り組みを進めるにあたり、2021年2月相模原市情報公開・個人情報保護・公文書管理審議会に諮問を行い、内容は適切であるとの答申が出され、その中で3つの付言があった。1.公文書監理官の独立性の確保に努めること 2.職員による自己点検の実施にあたっては職員の負担にならないように実施方法を検討すること 3.一定の期間実施後には検証を行い、必要に応じて制度の見直しを図ることである。

 これら実現には、本村賢太郎市長の「市民の信頼を損なう重大な事案が散見され、重く受け止めている。事業の正常化に全力で取り組む」(東京新聞Web版2019年11月13日付)という決意も後を押した。再発防止策とは、第三者機関の調査を基本として、市民に理解を得られるように、問題を分析し、具体的な解決策を講じることである。相模原市では監理官による毎年職場の点検と指導、きめ細かい研修を実施して、風通しの良い職場と職員育成を継続している。

 結局、疑惑の事案に対して相模原市は2022年10月元所長に約4037万円の損害賠償を求めて横浜地裁相模原支部に提訴した。検証すべき公文書が不在だけでなく、土地評価の不正にまで関わった元所長の代償はあまりにも大きかった。逆に本村市長が疑惑の事業を中断し、立ち止まって熟考して得たものは規律ある職員づくりの再構築につながったことである。

 このように市政を揺るがすような事案に対して、根本的な再発防止への取組みは、その熱量次第で成果が大きく異なることも事実だ。そして自治体の首長は、こういう時こそ思い切った改革ができる絶好のチャンスだと捉えて欲しいものである。

機関誌IM2025年5・6月号再掲

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