第19回JIIMAベストプラクティス賞授賞事例について

第19回JIIMAベストプラクティス賞授賞事例について

令和7年9月18日

公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会
理事長 勝丸 泰志

 日本文書情報マネジメント協会(略称;JIIMA)は、65 年以上にわたり文書情報マネジメントの普及啓発に努めているこの業界で国内唯一の公益法人です。マイクロフィルムの普及からスタートした活動は時代の変遷とともに変化し、現在では「日本のあらゆる組織の価値を高めるために、文書情報マネジメントの実践を通じてDX を加速するようにリードする協会」を目指して、文書情報マネジメントを普及啓発する公益活動を続けております。その一環として2007年(平成19 年)より先進的な文書情報マネジメントシステムを導入し、顕著な成果を出された企業・団体に対して『ベストプラクティス賞』を設け表彰しております。
 本年度の第19 回JIIMA ベストプラクティス賞は、審査委員会での厳正な審査の結果、下記の3 事例に授賞が決定し、JIIMA ホームページで公表すると共に、11 月12 日(水)から開催予定のJIIMA 主催 『デジタルドキュメント2025 ウェビナー』で受賞記念講演を行います。

<記>

(以下、敬称略)

1.アルファテックス株式会社 【優秀賞】

・推薦者;アルファテックス株式会社(自薦)

・テーマ;業務マニュアル(電子ファイル)と生成AI の連携活用による、新たな『業務ノウハウ継承の確立』と『業務引継ぎの早期化』

・評価ポイント;社内に蓄積された業務マニュアル、操作説明書等の文書情報を生成AI に取り込み、RAG 技術を活用することで、検索性・再利用性・回答精度を向上されました。特に、従来は作成されたマニュアルが現場で慣習化され、更新されないまま放置される傾向がありましたが、生成AI による活用を通じて、実際の質問履歴や業務の変化を反映したマニュアルの自動更新・改善が可能となり、文書の鮮度維持と現場適合性を大きく向上された点を評価しました。

【先進性】
業務継承支援に生成AI とRAG を活用した事例は業界でも先進的な取り組みであり、属人化の解消と心理的負担軽減を同時に実現した点が先進性に富むと考えられます。

2.株式会社NEXT ONE 【優秀賞】

・推薦者;三井倉庫ビジネスパートナーズ株式会社

・テーマ;急成長を遂げる電力小売事業の基盤を築くための業務効率化と内部統制強化を両立した文書情報マネジメントの再構築

・評価ポイント;単に書類を外部に預けるだけでなく、文書のライフサイクル全体を見直し、企業の経営課題解決に繋げるという包括的なマネジメントを実施されました。特に、電力インフラ事業という許認可業種の特性を踏まえ、セキュリティと定期監督対応の実績を重視してパートナーを選定し、文書管理を一元化され、これにより、内部統制の強化と業務効率の向上という二つの目的を同時に達成された点を評価しました。

【先進性】
急成長を続けるスタートアップやベンチャー企業が、業務効率とガバナンスという相反する課題をいかにして両立させるかを示す模範例と考えられ、先進性があると判断しました。

3.ナカシャクリエイテブ株式会社 【優秀賞】

・推薦者;ナカシャクリエイテブ株式会社(自薦)

・テーマ;“使えるAI”を味方に―ナカシャクリエイテブが挑む業務の省力化と変革として、全社にて生成AI の導入及び活用を推進

・評価ポイント;改善活動を続ける中で見えた構造的な課題である「情報のサイロ化」、「ナレッジの分散化」に対して、社内に存在するあらゆる文書情報を生成AI 及びRAG に取り込み、生成AI を社員の情報パートナーに育て上げ、前記課題を解決されました。その過程で、用途別に開発したAI アシスタントは543 件に上り、画像の判別やプログラミングなどの技術的な分野においても能力を発揮し、後継者育成にも大いに貢献していて、全社的には、導入から半年で4,000 時間近くの改善効果を出されている点などが評価できます。

【先進性】
この取り組みは、個別の顧客課題の解決に留まらず、ひいては社会課題の解決に繋がる事業創出を促進するものであり、AI によって創出された時間を高付加価値業務へと再配分することにこそ、AI の真の可能性があります。AI を触媒として人間の創造性を最大限に引き出し、「使えるAI」として現場に深く浸透させている点に先進性があります。

以上

■JIIMAについて
公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)は、文書情報マネジメントの普及啓発に関する事業を行い、文書情報の利用者に貢献するとともに関連産業の振興を図ることを目的とする公益法人です。1958年に日本マイクロ写真協会として設立し、1995年に社団法人日本画像情報マネジメント協会に改称後、2013年に内閣府から公益認定を受け現在の協会名に改称しております。公益事業としては、文書情報マネジメントに関する調査研究、関連規格の作成及び標準化の推進、展示会・セミナー等の開催、人材育成、電子帳簿保存法関連のソフトウェア認証等を行っています。

■本件連絡先

公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会
事務局長・渉外担当部長 黒柳 裕士

〒101-0041
東京都千代田区神田須田町2-19 ライダーズビル7階
TEL 03-5244-4781 FAX 03-5244-4782