文書情報管理士検定試験 受験インタビュー
 
文書情報管理士への全社的な取組み
株式会社ジェイ エスキューブさんを訪ねて
JIIMA 検定試験委員会 委員長 柏崎 朋之

 文書情報管理士検定試験は、平成19年より、同事業所で30名を超える受験者がいる場合、団体受験として割引や独自会場での受験ができるようになりました。文書情報管理士は年々受験者が増加する傾向にあり、平成21年8月の検定試験には、株式会社ジェイ エスキューブが130名余もの社員を受験させるなど、会社を挙げて取り組むところも多数出てきた注目される資格となってきました。 そこで、検定試験委員会ではこのような全社的な取り組みをされたいきさつを同社の中込純代表取締役社長、綿貫隆志執行役員、石田稔営業推進部長に伺いしました。

  文書情報管理士の受験を会社総出で行おうと思ったきっかけは何でしょうか?
社員に奨励した内容などをお教えください。
代表取締役社長 中込 純氏 中込社長  当初の発案は営業部門長の綿貫執行役員によるもので、私もまったく趣旨に同感しております。
 当社は、機器販売からBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)に業態変革中です。BPOに関連したメニューはいろいろありますが、特にECM(エンタープライズ・コンテンツ・マネジメント)に関連したサービスに力を入れたいと考えています。これは弊社が長年培ってきたスキャナやOCRの技術と非常に親和性が深く、これらを活かすため、全社を挙げて文書情報管理士の資格を取り、現場のスキル向上、知識の向上、プロ意識の醸成をはかり、そしてこれらを会社の武器として使っていこうと考えています。
 また、当社は3グループ5社が統合してできた新しい会社ですが、文書情報管理士の資格取得を共通の目標としてトライし、全社の一体感を醸成したいと思ったのも今回の全社による受験の理由のひとつです。
執行役員営業部門長 綿貫 隆志氏 綿貫執行役員  当社はSolution(ソリューション=情報技 術)」、「Staff(スタッフ=人材)」、「Service(サービス=受託運用)」の三つのSを掲げています。これからこのサービスを拡充しようという方向に向かっているのですが、BPOサービスの現場にはITソリューション分野と異なり公的な資格があまりなく、運用の管理者もそれほど重視していな かったため、問題だと思っておりました。
 当社はJIIMAを中心に業界の発展に尽くしたいと思っておりますので、いの一番に文書情報管理士資格を選定した次第です。
 今までどちらかというとBPOの現場では経験ありきの面がありました。今後は、このような職人芸的な知識、経験を棚卸し、標準化したものとして示していくべきだと考えました。
 まず2級であれば、我々営業もチャレンジできるのではないかということで、皆で取ろうということになりました。当初は営業部門だけを考えていましたが、社長にも賛同いただき、結局、全社で取ろうということになりました。
  中込社長  いずれにしてもこれだけの数の文書情報管理士がいると、その数を対外アピールにも使えますので、既に営業現場では利用させていただいております。
事業推進本部 営業推進部部長 石田 稔氏 石田氏  私は、全社的に受験を行うことになったため取りまとめ部門として、いろいろな部門に働きかけを行いました。幸い個人的にも挑戦したいという方が多く、今回は133名という大人数の受験となりました。
 次に受験対策ということで、試験の傾向と対策等の情報や、勉強の機会を準備するようにしました。皆の関心は非常に高く、この期間はかなり皆さん勉強をしたようです。
   
どのような業務の方が受験対象者でしたか?
中込社長
 今回は、経理を含む間接部門、採用部門、営業部門、運用部門です。
 運用部門は業務で文書のハンドリングやスキャナを利用した作業をすることが多く、経験とカンはあるのですが、今回の受験では初心に返ってスキルを棚卸しすることにしました。この結果、勘違いしていたことや、思い込みで進めていたことがあったことが改めて判ったという効果がありました。
 因みに平均点数は、間接部門と採用部門のほうが高かったです。
   
社長自ら受験されるというのは大変珍しいのですが、なぜお 受けになろうと思われましたか?
中込社長  やはり皆が受験することにした以上、社長の私も率先して受験しなければいけないでしょう。皆が共通の目標に向かう一体感は前向きな効果を生み出しますから、社長としても一緒にやろうと思ったのです。
   
受験のための準備はどのようなことをされましたか?
部署や組織で行われた勉強法などございましたらお教えください。
石田氏  まず代表者にJIIMAが主催する受験対策セミナーを受講してもらいました。この代表者がセミナーの情報をもとに社員教育用の資料を作成し、今回の受験者向けに一日5時間の社内講習会を、地方拠点も含めて全部で10回開催いたしました。
綿貫執行役  なかにはこの社内講習会を2回も受けた人もいます。この講習会以外に、有志による直前対策会として勉強会を行った部署もあります。
石田氏  マイクロフィルムの扱いについては、社内に詳しい者がいたため、その者に講師を依頼しました。実際の現場の見学も行いました。
中込社長  社内セミナーは皆真剣に取り組んでいました。受験者自身がやりたい、自分のためになると思い、皆が自発的に取り組んでいましたのが今回の特徴です。
 
試験後の感想をお聞かせください。
綿貫執行役  今回は社内で大変盛り上がり、試験が終った後は、しばらく皆が検定のことを話題にしていました。宴席でも話題になっていたくらいです。
 面白いと思ったのは、先程話にでたように間接部門の受験者のほうが、業務上の経験がある営業や運用部門よりも成績がよかったことです。業務上現場で実践することが少ない分、一生懸命準備をしたようです。
 逆に、業務の経験がある部門は少し油断をしたようです。やはり勉強しないと成績はあがりません
石田氏  思っていたより少し内容が難しかったという意見もありました。
合格された方に会社から何か報償はありましたか。
中込社長  合格時に資格奨励金を出しています。また、会社としてサポートしていることを示すため、受験者には会社負担で教科書を配付しました。
綿貫執行役  受験費用は受験者持ちとしましたが、合格すれば受験料プラス一回分の飲代が残る位の額ですが。
石田氏  これ以外に、社内に月間MVPという表彰制度があります。今回106名合格という高い合格率となったため、受験取りまとめ部門の営業推進部が月間MVPに選ばれました。
 
今回は多くの方が2級を受験されましたが、引き続き上位の資格を取っていくよう社員に奨励されますか。
中込社長  もちろんです。むしろ社員のほうから挑戦したいという声が自発的に上がっています。今回、残念ながら合格できなかった社員にもリベンジしてもらいたいと思っています。
石田氏  公共事業関係では入札仕様書で文書情報管理士資格が要求されるので、担当する営業は積極的に挑戦しようとしています。
綿貫執行役員  いままでの合格者を合計してもまだ全社の3分の1ですし、今後も社として残った3分の2の社員に対し資格取得を奨励していきます。
 

 
あとがき(司会)
 全社的に文書情報管理士資格を取得するとのことでお話をお伺いしましたが、資格の取得を通じた人材の育成という企業側の目的以上に、社員自らがやる気になって挑戦しているというよいお話を聞くことができました。今回の取り組みはトップのアイデアがきっかけですが、それが組織全体の活性化につながった優れた事例です。
 今後もこのように人材育成を積極的に行う企業にぜひ文書情報管理士検定試験を団体として受験していただきたいと思います。
 最後に、誌面を借りてあらためてジェイ エスキューブの皆様の努力に敬意を表するとともに、関係各位の取材ご協力に感謝いたします。