令和5年 税制改正大綱 閣議決定(R4.12.23) 電子帳簿等保存要件 電子取引について考える

 令和5年 税制改正大綱が、令和4年12月23日に閣議決定されました。

 この中で、六 納税環境整備 1.国税帳簿保全制度の見直し (国税)の中の(3)において、

・「電子取引(取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいう。以下同じ。)の取引情報に係る電磁的記録の保存制度について」

 見直しが行われておりますので、その紹介と文書情報マネージャーとして考えていくべきと思うことについて、個人的な意見を述べさせていただきます。

 具体的な内容は、以下のような検索要件の緩和であり、正確を期すため、引用いたします。

 そして、宥恕措置は、適用期限の到来をもって廃止すと結んでおります。

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① 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存要件について、次の措置を講ずる。

 イ 保存義務者が国税庁等の当該職員の質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合には検索要件の全てを不要とする措置について、対象者を次のとおりとする。

 (イ)その判定期間における売上高が5,000 万円以下(現行:1,000 万円以下)である保存義務者

 (ロ)その電磁的記録の出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力され、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている保存義務者

 ロ 電磁的記録の保存を行う者等に関する情報の確認要件を廃止する。

② 電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存をすることができなかったことについて相当の理由がある保存義務者に対する猶予措置として、申告所得税及び法人税に係る保存義務者が行う電子取引につき、納税地等の所轄税務署長が当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存をすることができなかったことについて相当の理由があると認め、かつ、当該保存義務者が質問検査権に基づく当該電磁的記録のダウンロードの求め及び当該電磁的記録の出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合には、その保存要件にかかわらず、その電磁的記録の保存をすることができることとする。

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①の要件緩和の目指しているところは、次のように見えます。

(a) 電子取引の取引情報の記録は、電磁的記録であることを周知する。

(b) 電子取引の取引情報の検索要件を緩和することで、電子取引の利用拡大を図る。
(検索要件が厳しいことで、紙(書面)への回帰傾向もありました。このような逆流を防ぐ。)

(c) 紙(書面)であれ、電磁的記録であれ、
 ”取引年月日その他の日付及び取引先ごとに、整然とした形式及び明瞭な状態で、管理されるべきである。”

②の猶予措置においても”整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。”という条件が入っていることからも明らかです。

 つまり、分類、整理のレベルかもしれませんが、最低限そのレベルの文書管理はできている必要があると考えます。

 特に、(c)については、常日頃、税理士さんから指導のあることとは思いますが、紙(書面)の管理レベルが、十分ではない状態ではない、もしくは、税理士等に丸投げのユーザー企業も多いように見受けられますので、電子化と合わせてレベルアップしてはどうでしょうか。

 文書情報マネージャーの皆様におかれましては、認定セミナーの中でも申し上げておりますが、この電子取引の取引情報の電磁的記録の正式認可を利用して、是非、紙での取り扱い部分も電子取引に変更していき、業務の生産性を高めるとともに、一歩先の会社の価値向上に繋げて頂けたらと存じます。

 令和4年12月16日、与党から「令和5年 税制改正大綱」が、発表されていますが、最終章の検討事項の中にも、
「帳簿等の税務関係書類の電子化を推進しつつつ、経営状態の可視化による経営力の強化の検討を早急に進めたい」との文言もあり、この点は共通しているかと思います。

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