電子帳簿保存法Q&A

デジタルドキュメント2021ウェビナー

 昨年11月にオンラインにて開催されたデジタルドキュメント2021ウェビナーにて、国税庁のセミナーから電帳法の制度運用に関して質問が寄せられた。
 JIIMA法務委員会では、これらの質問に対して国税庁指導のもと、回答を作成したのでその一部を紹介する。

※ 2021年11月15日(月)~ 11月30日(火)にデジタルドキュメント2021ウェビナーにて開催された相談窓口より、国税庁に内容をご確認頂いたうえ、JIIMA法務委員会で監修しました。 
質問の記載内容に対する一般的な回答となりますので、個々の納税者が行う具体的な内容については、最寄りの税務署等に、改めて確認するようお願い致します。

Q1.
自社で、削除・更新禁止や削除・更新履歴が残る機能を持つデバイスやクラウドを販売している場合、改正電帳法における電子取引の保存要件は満たすというような言い方でお客さまに案内、広告・宣伝してもいいでしょうか。検索要件との紐づけはお客さま対応事案ということで、JIIMA認証のレベルには至りません。また、検索機能も同じで、お客様やSEの設定により、改正電帳法における電子取引の要件にできますと言ってもいいのでしょうか。いずれも部品として機能は持っていますが、トータルで改正電帳法における電子取引に対応するには、コンサルやSE設定が必要なものです。

A1.
製品等の詳細が不明であり確たることは申し上げられませんが、電子取引の保存を行うには、要件の全てを満たす必要があることから、その一部のみを満たしているだけでは要件を充足しているとは言えません。
なお、広告宣伝に当たっては、景品表示法といった関連ルールに違反することがないようご注意ください。
【参考】取扱通達 7-1

Q2.
■ 電子取引文書の検索要件である「取引年月日」「取引金額」について
① 取引年月日とは、実際にその取引(契約や受発注)が成立した日付なのか、電子取引
データがやり取りされた日付なのか、または企業が定めた基準などに準拠すれば良いのか?
  例えば、5月21日に発注した取引の請求書には、請求日付として5月31日が記載されており、これを6月1日にメールで受信した場合は、5月21日、5月31日、6月1日のいずれでしょうか?
②取引金額とは、対象文書の合計金額なのか、取引単位の明細金額なのか、または企業が定めた基準などに準拠すれば良いのか?
  例えば、1つの取引先に対して今月発注した3件の取引について、月末にこの3件がまとまった請求書をメールで受信した場合、この請求書は各々の取引単位の取引金額で検索できないといけないのでしょうか? それとも、3件まとまった合計金額(請求金額)で検索できれば良いのでしょうか?
■ 「記録事項の訂正・削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認できるシステム、または記録事項の訂正・削除を行うことができないシステムで取引情報の授受及び保存を行う」について
① 電子メールで請求書をPDFで受領し、ユーザが手動でこのPDFを訂正・削除できない文書保存システムに保存する場合、ユーザが訂正・削除する可能性があるが、当該措置を適用できるでしょうか?
② 取引情報を授受している電子メールシステムが、ユーザにより訂正・削除できる場合は当該措置を適用できるでしょうか?
■ 同じ内容の書類を電子と紙の両方で受領した場合、取引先とどちらを正本とするかの取り決めがない場合には、両方保存しなければならないのでしょうか? それとも、受領した企業が定めた基準で片方だけの保存でも良いでしょうか?

A1.
■ 電子取引文書の検索要件である「取引年月日」「取引金額」について
① 基本的には取引情報の種類に応じて、書面で取引情報を授受する際に当該国税関係書類に記載すべき日付となります(例え
ば見積情報については見積年月日、注文情報については注文年月日、請求情報については請求年月日。)したがって、ご質
問の請求書の例ですと5月31日としていただければ問題ありません。
② お尋ねのケースでは、検索できるべき金額は合計金額となります。
  PDFで受領する請求書については1PDF毎、CSVファイルで受領する請求データについては1レコード毎に金額を検索で
きる必要がありますが、ご質問のように取引3件分の代金が内訳として記載された1つの請求書データ(PDF)が送付され
てきた場合には、個々の取引金額ではなく合計金額で検索できれば問題ありません。

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