令和3年度税制改正対応 効率とコンプライアンスを高める e-文書法 電子化早わかり
はじめに
本書は、2015年に緩和されたスキャナ保存の要件に加え、2021年までの緩和要件も付加した「電子化早わかり」の改訂版です。税務関係書類の電子化にすぐに取り組めるよう記述しました。
また、今回から電子帳簿保存法の電子取引要件についても記述を加えています。e-文書法全体については、医療情報・学術指導要録・知的財産権・会社法等の他の省庁が求めている電子化の要件について、早わかりで見ることができます。
あらゆる企業の価値を高めるため、企業内・企業間を問わず電子文書・電子化文書が流通することにより文書情報マネジメントが実践され、DXがいっそう加速されることを祈っています。
(1)紙から電子の社会をめざして
文書情報マネジメントを普及啓発し、公益法人として活動するJIIMAでは、文書及び文書を扱う環境が急速にデジタル化されていく中、適切な文書マネジメントを推奨するため、「JIIMAビジョン2020」を定め「効率的で持続可能であって、すべての人が必要な時にデジタル技術の支援を得て、自由な働き方を選択し、時間や場所の制約なく仕事ができ、人間らしい生活を送れる社会の実現」をめざしています。
(2)e-文書法とは
e-文書法により措置される法律数は約250本あります。本書では各省庁のそれぞれの法の施行規則や通達・ガイドラインをピックアップし、代表的なものについては該当部分を転載、解説を加えました。会社法、医療情報システムの安全管理に関するガイドライン、文部科学省の指導要録、建築確認申請の電子化ガイドライン、建築設計業務における設計図書の電磁的記録による作成と保存のガイドライン、特許庁先使用権のガイドライン、JIIMA電子契約活用ガイドラインなど、業種別の要件を知ることができます。巻末には「e-文書法対象リスト」を記載、保存対象文書ごとに当てはまる法律と技術要件がわかります。
(3)令和3年の税制改正に対応
本書の柱ともいえる国税関係書類の電子化に関する要項は、令和3年度税制改正(2021年3月31日財務省令第25号)に対応。国税庁が公表している電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)と電子帳簿保存法一問一答はスキャナ保存・電子取引関係を全文掲載し、税務署へのスキャナ保存申請の手順も図解しています。
(4)スキャンの技術と画像品質
4章では、e-文書法に則した各省庁が定める解像度や圧縮の条件を一覧に見ることができます。解像度や階調により異なる画像品質の差異やファイルサイズの目安、ファイル形式の違いが示されているほか、画像の検査方法として有効なISO12653-3スキャナ用テストチャートの図表の意味などが分かります。平成28年税制改正で適用された国税関係書類の追加要件、スマホやデジカメで撮影する際の注意点も網羅しています。
(5)電子帳簿保存法における電子取引
昨今の社会情勢のなかで、非対面による事務手続きが求められるようなりました。従来の書面によるやり取りに代わる取引手段として、電子取引が様々な業種・業務の中で採用され広く利活用されるようになっています。電子取引を実現する様々なサービスが登場し、普及が進む中で電子取引を取り巻く環境は急速に変化している状況と思われます。「税務関係書類の電子化にすぐに取り組めるよう」にするという本書の位置づけに従い、電子帳簿保存法で規定している電子取引についての解説を行います。

第1章 文書情報マネジメント
電子文書・電子化文書の利点・ポイント/ JIS Z 6016-電子化の標準的な流れ・電子化文書のセキュリティ対策
第2章 「e-文書法」とは
「e-文書法」 対象法律/各省庁のe-文書法に関連する施行規則やガイドライン/電子化文書の法的証拠能力の強化/電子署名とタイムスタンプの役割
第3章 国税関係書類のスキャナ保存
スキャナ保存の区分/真実性・可視性を確保するための要件、システム要件/業務フロー/過去分重要書類のスキャナ保存
第4章 スキャナと画像品質
主な省庁が示すスキャン時の設定/解像度・階調から見る画像品質/画像品質の検査項目
第5章 電子帳簿保存法における電子取引
電子取引の概要・分類・保存要件/保存場所と保存期間/保存上の措置
〈付録2〉 電子帳簿保存法一問一答(スキャナ保存)
〈付録3〉 電子帳簿保存法一問一答(電子取引関係)
〈付録4〉 電子帳簿保存法一問一答(電子計算機を使用して作成する帳簿書類)
〈付録5〉 お問合せの多いご質問(令和3年11月)
〈付録6〉 電子帳簿保存法 法的要件認証制度 JIIMA認証